「全国企業財務諸表分析統計」によると、パン・菓子製造業の粗利益率は31.88%(帝国データバンク)
つまり、世間に出回っている菓子メーカーのお菓子は約3割が利益といえる。
お菓子の利益を考える
利益がでない、忙しいのに給料を払えない。
こんなお店の経営の仕方で一体、誰が幸せになれるのでしょうか。
お客様はお店に商品を買いに来てくれる。
でも、そのお店の人が経営に困っているのを知ったらどんな気分だろうか。
有料noteでは、実店舗の利益を公開しつつ利益について盛りだくさん。良かったらこちらも合わせてどうぞ。
お菓子の利益を考える|実話からヒントを得る
専門学校時代の同級生が県外からお店に来店してくれた時の一言。
知り合いの洋菓子店は忙しくても利益が出なくて困っている。手伝いに行くけど、申し訳なくて謝礼は貰えない。
今回はこの件について少し語っていこうと思います。
さて、問題はどこでしょうか?
忙しいのに利益が出ない
この部分です。
もし、しっかりと利益を出していれば
手伝いに行った同級生も、気持ちよく謝礼をもらってくることができた
お店側としても、働いてくれた分を謝礼として渡すことは当たり前のことです。
忙しい時に手伝ってくれる人がいれば、誰もできない部分を経営者ができたかもしれません。
その分自分しかできないところに手が回ったり、他の考え方ができたりします。
次の課題や、やらなければいけない点に気づくこともできたでしょう。
では一体、なぜ利益が出ないのでしょうか。
答えは簡単で、商品が安すぎた。から
忙しいから同級生が手伝いに行ったのですから、お客様はお店に来てくれている。ということ
だから集客は出来ています。(多分)
肝心な利益が出ていないという事は商品の値段設定が安すぎたということです。
手間のかかるケーキの値段が安すぎた。
利益の多い商品が全く売れない。
こんな感じではないかと思います。
実際にお店の中を見たわけでもないのでハッキリとした原因は分かりませんが、このように推測します。
ここで挙げられた原因2点を深堀し、解決策を考えます。
手間のかかるケーキの値段が安すぎた
手間がかかっているのに、原価が安いので原価だけを見て値段設定をしたため。
商品の値段を決める時には皆さんがどのくらいの材料費でできているのかを計算してから決めると思います。
その決め方が、原価計算だけで決めたために利益が出ないという事態になった。
材料費が安く済むので、なるべく安くしてたくさんのお客様にたくさん購入してもらえばいい。
そこには作る手間が加味されていなかった。
安くてたくさん売れる
が、その分仕込みの量が増え、手間がかかりますから時間もかかる。
たくさん売れる=儲かる
ではなくて
手間をかけて仕込みをするということは
他の商品を作る時間が無くなる。
結果的に、商品ができるまでに時間がかかるのに、その分の対価が帰ってこない。
忙しいのに利益が残らないという事態になったと思われます。
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やよいの青色申告オンライン利益の多い商品が全く売れない
材料費の高い外注製品ばかり売れて、自社オリジナルのお菓子が売れない。
手間がかかるので、自社オリジナルのお菓子は高めの値段設定をしたが売れない。
お客様がお菓子の値段だけを見て購入を決めるので、安いものばかりが売れていく。
お店は商品の価値をお客様にしっかりと提示できていない。
次に解決策を考えます。
手間のかかるケーキの値段が安すぎた|解決策
見た目だけでは、お客様に手間がかかっていることは伝わりません。
例えば、プリンを作って売る商売、プリン専門店。
手間暇かけて作った高級プリン1個700円。だけでは伝わりません。
- どこに手間がかかっているのか
- なぜその+ひと手間が必要なのか
- その手間をかけることでどんなことが起こるのか
しっかりと細かく提示してあげましょう。
例
・何度もプリンの生地をこすことで手間はかかりますが滑らかな食感になります。
・滑らかな食感は高級アイスを食べたかのような口当たりで、いつものプリンが至福の時間へと早変わり。
など。
いい文句は適当に考えましたので何とでも言いようがあります。
ただ手間と時間をかけただけではなくて
コレ!という理由があってしたことでこんな効果があり、食べることでどんな風になれるのかを想像できるように提示することです。
利益の多い商品が全く売れない|解決策
材料費の高い外注製品ばかり売れて、自社オリジナルのお菓子が売れない。
本来であれば、自社オリジナルの商品はどこに行っても買う事ができないものなのでこっちを売りたいところです
自社オリジナルのお菓子だけでは製造が追いつかないので、外注製品でカバー
その外注製品が売れてしまう。
オリジナル商品の構成から作り直した方がよさそうです。
材料、レシピ、コンセプト、売り方、類似商品の有無、ライバルはいるか、そもそもお客様が欲しい商品なのか等々。詳細は別記事参照
■その商品を売りたい理由は何か、ストーリー性を加えて記憶させる
なぜそのお菓子を買わなければいけないのか、どんな時に買って欲しいのかを提供できていない
単純に、そのお菓子が欲しいと思ってくれそうなお客様がお店に来ていないからかもしれません。
子ども向けのお菓子を売りたいのに、来てくれるのは自分用にお菓子を買いたい目的のお客様だけでは思うように売れないかと。
新規のお客様を呼ぶ広告を出したり、そのお菓子を好んで食べそうな年代へのアピールを積極的にしていきましょう。
来てくれそうなお客様はどんな時にお菓子を買うのか、そこにめがけてアピールします。
ラーメン嫌いな人にラーメンの宣伝をしても無駄ということです。
お客様がお菓子の値段だけを見て購入を決めるので、安いものばかりが売れていく。
値段は安いほどいいですが、どんな時もそうとは限りません。
いつも行くお友達のお家に持っていくお菓子(ケーキ)が一個700円だと、気を遣われてしまうかもしれません。
気を遣うから、もうお家に呼ぶのは遠慮しようかな…何て思われてしまうかも。
だけど、そのお友達に良い事があってお祝いを兼ねてのお菓子だったら一個700円でも高くない。
人によって価値観は様々ですが、欲しいと思っている人にその分の価値を提供できていれば高いから売れないというのは理由になりません。
中身を伴わないのはダメですが、価値を提供できていれば高くても商品は売れます。
お店は商品の価値をお客様にしっかりと提示できていない。
ただただ家賃が高いから、商品の値段も他と比べて少し高い。
こんな理由ではお客様は納得してくれません。だったら、家賃の低いところにお店を構えればいいだけです。
少し偉そうな感じになってしまいましたが、お客様目線で思うことを感じたままに言うとそうではないでしょうか。
だけど、家賃が高くて有名なあの土地のお店でオーダーメイドしたバースデーケーキ。
そこに価値があれば、どんなに高くても買いたいと思います。
家賃とは違いますが、自分が大好きなパティシエさんが自分だけのために作ってくれたケーキ。
それだけで価値のあるものです。
まとめ
大手菓子メーカーの利益は約3割と冒頭で紹介しましたが、この利益率がすべての菓子店が参考にしている訳でもないと思います。
広告宣伝費をかけて大量に売ってその分利益をとるのか。
ある程度原価もかけて手間もかけて高めにしてもっと利益率をあげるのか。
自分のお店の場合、利益率は6割ぐらいです。
世間からすると、少し高めの設定なのかもしれません。
それでも、自分がお店をやりたいと思った焼きたてのお菓子を提供し続けていくためには必要な利率だと思います。
その価値を、欲しいと思ってくれるお客様に提供し続けていけるように、今も日々努力し続けています。
お店にお客様を呼ぶって、簡単なことではありません。
だけど自分の強い気持ちがあれば、きっと小さくても長く続けていけるお店つくりは誰でも出来ます。
そこに気づいて、行動し、分析し、繰り返す。
自分がやりたいのはこんな事じゃない。
そう思い悩んだこともありましたが、
経営するってそういう事だと、今は思います。
好きなことを続けるのは簡単じゃない。
続けていけるように努力してこそ、できる仕事。
これはどんな仕事をしていても同じ共通点かもしれませんね。
そしてこれからも、小さな専門店さんの開店を応援しています。
開業するときは分からない事だらけだった自分ですが、何とか今も小さいながらお店を続けています。
何か質問があればお問合せ下さい。
お答えできることがあれば精一杯対応します!
私は有料ソフトを使って時短で利益を計算しています。
入力に慣れるまでは困難も伴うかもしれませんが、覚えれば大丈夫
年に一度の青色申告のために使っているオンラインソフトですが、
日々の経費ノートを月一度、まとめて定期的に入力。
自然と利益の計算をしてくれます。
メンドクサイ物、コトほど貯めずにコツコツ
がコツです(笑)
参考までに使っているソフトのリンクを貼っておきます。
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